四角い部屋
シロちゃんは、傷ついてやせ細った鳥みたいだった。今までもそうで、気が付かなかっただけなのかな。
これ以上細くなれない体に、突き刺さるような痛みを感じた。秘密なことがいっぱいすぎて、確実に私の知っているシロちゃんではなくなっていた。シロちゃんは、じっと痛みを堪え、痛みに耐えていることさえも、分からなくなっているようだった。
乾いた空気が支配する大きな部屋には、人の住んでいる気配がなく、しんとしていて寂しかった。そこには、ただぽつりと四角い空間だけがあった。
シロちゃんがここで暮らしているとは信じられないし、信じたくなかったけど、私の知らないシロちゃんの現実と、口に出せない気持ちが詰まっていた。
触れられないことって、あるんだなって、初めて分かった。光よりも影の方が、強く強くその勢力を増しつつあるみたいだった。
大学時代のシロちゃんは、もうどこにもいなかった。
そして、私は気がついた。私がシロちゃんといて、楽しいな、幸せだなと思えたのは、シロちゃんの絶え間ない笑顔と楽しそうな笑い声があったからだと。
もしかしたら、シロちゃんは自分自身では気がついていないのかもしれない。自分にツラいほど鞭を打ち、仲間に支えてもらってる自分の姿を。
それはそれは、切なくて、悲しいものだった。
私はシロちゃんの幸せをただただ願い、何か力になりたかった。けれど、年月の流れには勝てないし、私に「幸せそうだね」と言うシロちゃんは、どんなことも私には打ち明けてくれないだろう。
どんな言葉をかければよいか分からない。
かけない方がいいのかもしれないね。
またいつか、シロちゃんが笑ってくれたらいいのに。
元気になってほしい。
今はそれだけ。