秋の終わり

季節が巡るのは意外に早いもので、北海道の秋は終盤。



木の葉が風に身を委ねるように、くもりの空は晴れにはならないけれど、

決して気持ちに連動してるわけじゃないよって、そんなこと分かってい

る。






あのまま引っ越さずにいても、すべてが良かったわけじゃないと分かって

いるけれど、一度に全部取り上げられたようなそんな思いの中、抜け殻み

たいな自分に適当な言い訳をして苦い珈琲を飲んだ。




何が良くて、何が悪いかなんて分からないし、答えは見つからないまま秋

の空を見上げると、東京のなつかしい空がずっと遠く遥か彼方に行ってし

まうようで、マフラーの中に顔を隠した。



冬のはじまりも、秋の切なさも、ひどく敏感になっている。

今でもあの観覧車は光を放ち都会の空のてっぺんまで登っているのだろう

か。終電の地下鉄は今でも、たくさんの人を乗せて明日へ運んでいるのだ

ろうか。


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