私の部屋

しばらくぶりに育った街に帰ると、見慣れた風景と空気があった。

街のあちらこちらが変わっていないか車の窓から覗き込む。

街も家も人も、皆一様に少しずつ歳を重ねているが、まだまだ現役みたいだ。



自分の部屋に入ると、頭のてっぺんから足のつま先まで、すべての糸がほぐれたように

とてつもない安心感がやってきた。



何年経っても、ここにこのままでいて欲しい家。家族。


永遠なんてどこにもなくて、すべてに終わりがやってくる。

いつの時代も、平等に。


そのことを考えると、鉄の鎧を自分に被せたみたいに固くなる。

今のこの世界を守ることだけが私の望みであるから。


そんなことできないのは分かっている。

けれど、1分でも1秒でも、このままでいたいと強く願わずにはいられない。



ベッドに横になり、顔の半分まで毛布を引っ張ると、我を忘れて自由な私になる。


子どもの私、高校生の私、おとなの私。

若かったあの頃、何も怖くなかったって歌。

ホントだね。

今は、怖いものでいっぱいだよ。


束の間の休息。

エネルギーを満タンにして、ここの空気を目一杯吸って、

帰るよ。


永遠でない永遠を祈りながら。




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