ビー玉
子どもの頃から、ビー玉が好きだった。光に当てるとキラキラしていて、色の中に吸い込まれるような、そんな気持ちになった。
ひとつふたつ記した言葉に、触れそうで触れない場所にいるのは、偶然なのか、或いは意図していることなのか。
もしも、後者だったなら、間違いなく気持ちを弾ませてしまうだろう。
出会いとタイミングとは無情なもので、トースターの出来上がりの音のようにぴったりとは来ないもの。
数えきれないほどの人の中で、出会った奇跡。あの日、なんの前触れもなく、真正面からじっと見つめられた瞳に、落ちてしまったんだ。
あまりにも強い力で。
目を逸らす事さえできなかった。
見つめられて、目を逸らせないなんて今までなかったのに。
あの時、あの場所に行かなかったらまるで知らない人。一生知らずにいた人。
この先、ずっと平行線を辿るのか、交わる線があるのか、糸が切れるように終わるのか、それは分からないし、どうしたいのかも分からない。
でももしも、一夫多妻、一妻多夫の選択があるならば、間違いなく飛び込んで行っただろう。
忘れたいと何度思っただろう。
忘れたくないと何度思っただろう。
月日の流れは、少しずつ思い出の色を淡く優しい桜色に変えてゆくだろう。
そして、いつの間にか果てしなく白い色に。
大切な人はすぐそばに。
忘れられない人は、遠くに。
それが私の未来の答え。
これからもずっと。