あの日のあの場所へ
澄んだ空を見上げると、シロちゃんに会いたくなった。
とても会いたい。
そして、あの日のあの場所へ行きたい。
シロちゃんが生まれ育った街。
空の色が明るい水色で、海がとってもきれい。
照りつける太陽にだって、笑い飛ばせる力を持っていた。
あの空を、あの海を、もう一度見れたらいいな。
あれから10年。
私たちは別々の場所で違う人生を歩み始めた。
シロちゃんに何があったかは分からないけれど、目に見えて痩せて、瞳の奥にある影を見た。
この世の中には、悲しいことや、辛いことがいっぱいいっぱいある。
そのことがシロちゃんを苦しめているのなら、助け出してあげたいと思った。
でも、シロちゃんは私の知らないうちに、私の知らない人と結婚をして、すぐに赤ちゃんが生まれた。
私の出番は、もうないんだな。
シロちゃんが今日もあの空の下で、笑顔で元気にいられますようにと願っている。
これからもずっと、笑顔でいられますようにと。